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仏壇

仏壇とは

仏壇というのは元々どういう意味を持っているのでしょうか。


それは家庭における信仰生活の中心になるところです。仏壇の中には拝む対象、読んで字のごとく「もとより尊い」信仰を捧げる本体が安置されています。この本体をご本尊といいます。宗派によって日蓮大聖人図顕・十界互具大曼荼羅や釈迦牟尼仏、阿弥陀仏、大日如来など、お祀りするご本尊に相違がありますが、ご本尊というのは信仰を捧げる中心であり、このご本尊を一番奥の高い所にお祀りして、その一段下に法号を記したご先祖のお位牌をお祀りします。


仏壇とは家庭内の信仰の拠りどころとして美しく清らかに荘厳し、静寂の中で一心に拝む道場であり、また、自分自身の日頃の行いを反省することのできる、大切な場所でもあるのです。


仏壇のはじまり

日本での仏壇のはじまりは、天武天皇14年(685年)の3月27日に貴族や有力氏族に対し、仏舎を祀るよう勧められた詔に起因しています。


『日本書紀』
現在の仏壇の形に近いものとしては、法隆寺の「玉虫厨子」が日本最古のものとされ、当時は念持仏を祀るためのものでした。
そして、江戸時代での徳川幕府による檀家制度(戸籍制度)などの宗教政策もあって、急速に庶民に広まったといわれています。(諸説あり)


仏壇をいつ求め、いつお祀りするのか?

仏壇は、ただ亡くなった家族やご先祖だけをお祀りする所ではありません。家族の心の和合和楽する中心であり、それぞれ自分自身の心とご本尊とが結びつく根本道場ですから、亡くなった方がなくても、一家を持ったならお祀りしたいものです。


地方によっては、結婚して分家をした時には、すぐに菩提寺に行って、本堂のご本尊をお参りし、ご先祖のお墓に報告申し上げて、お寺からご本尊を頂いてきて、自分の家の仏壇にお祀りするという所がありますが、これはご先祖やご本尊を大切にし、尊んでいる証です。


いつ仏壇を求めるかについてですが、何でもないときに購入すると、その家に不幸が訪れるという人がいますが、仏教のいかなる経典にもそのような教えはありません。


しかし、どうしても気になるという方は、お盆やお彼岸、ご先祖の命日、また、葬儀や法事といった、仏教に関心が高まった時に併せて求めればよいかと思います。自分の心の拠りどころであり、信仰生活の中心となる仏壇を求めるのに、悪い日などありません。


仏壇はどこに安置するのか?

仏壇を求める場合に考えておくことの一つは、その仏壇を置く場所のことであります。

家の中のどこに置くかということにより、仏壇の大きさが決まるわけですから、前もって仏壇を置く予定の場所を測ってから仏具店に行くことです。


仏壇を置く場所ですが、方位や方角の良し悪し、また宗派によっては西向きが良い、南向きが良いなど決められている等、色々とあるようですが、本来仏壇というものが、自分達の先祖を祀る、家庭における心の中心であるものですから、方位や方角、西方浄土、東方浄土というようなことにこだわる必要は全くありません。


ただし、「仏壇の中には、ご本尊やご先祖がいつでもおいでになるのだ」ということを考えて決めることが大切で、ご両親や祖父母がそこにおられると思えば、おのずと置く場所は決まってきます。


たとえば、風通しの良い所、湿気の少ない静かな所などが考えられますが、特に注意したいのは、直射日光がよく当たる場所は避けなければなりません。それは日光によって仏壇が非常に早く劣化や破損してしまうからです。また、絶えず人の出入りする玄関先、台所、お手洗いの横、暗くて出入りに不便な部屋などは避けるようにいたしましょう。


家族や家族以外の方に礼拝してもらうような場合も考えれば、1階の方が適当であると思いますが、それもそれぞれの住宅の間取りや生活事情がありますので、家族でよく話し合うことが大切です。マンション等に合わせた小型の仏壇もありますので、客間や居間の正面や、床の間に並べてお祀りしても良いと思います。


仏壇の種類

仏壇の種類は色々ありますが、二つに大きく分けることができます。


まず、黒い漆と、赤い漆、全体に金箔が施してあり、装飾も大変凝った造りで、「金仏壇(きんぶつだん)」あるいは「漆仏壇(うるしぶつだん)」といいます。材料は欅、檜、杉などでできています。


もう一つは、「唐木仏壇(からきぶつだん)」と呼ばれるもので、漆や金箔をあまりたくさん塗らないで、材料に使っている木材の生地をそのまま表面に出したもので、落ち着いた風合いのものです。材料は桑や桜、黒檀、紫檀など木目の美しい木が使われ、ています。


近年では、マンションや小さな間取りでも安置することができる小型の仏壇や、洋室にもなじむような仏壇もありますので、安置したい間取りや住宅事情を考慮して、永く愛着のもてるような仏壇を選ぶのがよいでしょう。


仏壇の開眼、閉眼供養

古い仏壇を取り払う時には、お祀りしてある霊の魂を抜く「閉眼供養(へいげんくよう)」という回向をしてもらい、また新しく求めた仏壇には、これからその仏壇にお祀りするご本尊やご先祖の魂を入れる「開眼供養(かいげんくよう)」をしてもらうことを忘れないでください。


これは仏像や絵像などに向かって仏様の心であるお経を読誦することによって、仏様の声と心がその仏像や絵像に入るということであり、開眼供養を行った仏壇や仏像は魂が入っているのですから、大切に扱わなければなりません。また破損や劣化等により修復する時や、事情により処分する時などには必ず閉眼供養をしてもらいましょう。供養のやり方や詳細については、菩提寺にお尋ねください。


*尚、顕本法華宗のご本尊のお祀りの仕方については、顕本法華宗公式ホームページ内「教え・歴史」の「ご本尊について」、または「信徒必携」をご覧ください。


仏具の飾り方・置き方

ご本尊(お曼荼羅)

《ご本尊を正しくおまつりしましょう》 ~あなたのお家のお仏壇は正しくおまつりされていますか? ~

日蓮大聖人は信仰する上でご本尊を決して誤ってはならない、と説いてこられました。


我が家の信仰の拠り所であるお仏壇で最も大事なのはご本尊です。 それはお位牌でもなく、日蓮大聖人像でもありません。


日蓮大聖人が法華経の世界を精魂込めて文字で書きまとめられたお曼荼羅(お掛け軸・図1)が本宗信徒の拝むべきご本尊であります。

ただし、寺院等ではお曼荼羅の中心部におられる仏・菩薩を木像の形に置き換える場合もあり、これを「木像式」と言います。


お曼荼羅の中には様々な菩薩・神・高僧の名が記されていますが、どなたも皆お釈迦様に帰依されていますので、その内のお一人だけを取り上げて礼拝の対象にするのは誤りです。


お釈迦さまをさしおいてほかの神仏を本尊にしてはいけません。


本宗ではお曼荼羅の左右には鬼子母神や大黒天の神像・掛け軸をおまつりしないのです。


また、他宗のお寺のお札も仏壇の中にまつらないようにして下さい。


なお、お仏壇の購入等でお曼荼羅を新調するときは、必ず菩提寺にお願いして、総本山妙満寺から授与されたお曼荼羅をご住職に開眼供養してもらって下さい。

1.ご本尊 (お曼荼羅)
お仏壇の最上段の中心におまつりしましょう。


2. 日蓮大聖人像
祖師をお慕いする気持ちから、ご尊像をおまつりする場合には、ご本尊の前を大きくふさいではいけません。


3.お位牌
ご本尊や日蓮大聖人像をおまつりする壇の一段下におまつり下さい。やむをえず上段に置く場合も、ご本尊をふさいではいけません。


『顕本法華宗 信徒必携』平成18年5月改訂版


お位牌

仏壇を祀る仏具の中で、ご本尊の次に大切のものはお位牌です。


お位牌とは、亡くなった人の戒名(法号)を表に書いたり彫りつけたりし、裏にはその人の生前の名前(俗名)や亡くなった年月日と、年齢などを記したものです。


亡くなった直後、葬儀の時に祭祀者側が用意する白木のお位牌は、「水位牌」とも「野位牌」ともいって、これは死後忌明け(きあけ・いみあけ)の法事のある三十五日か四十九日(満中陰忌または満七日)まで新仏(にいぼとけ)の祭壇にお祀りします。


一方、忌明けまでの間に漆塗りや金箔塗の「本位牌」を、施主側が菩提寺や仏具屋などを通じて用意し、忌明け後永く仏壇に祀り、白木のお位牌は菩提寺へ納めます。


また地方によっては、自宅の仏壇用の他にお位牌を作り、これを菩提寺のお位牌堂へ納め、永くこのお位牌を供養してもらう所もあります。


お位牌の形式も一基(一本)のお位牌に一霊ずつか、または夫婦位牌など二霊並べるものや、先祖代々の霊を何霊も多く記すものもあります。


また、板片の一枚一枚に戒名を記して、何枚も重ねて箱型の位牌の中に入れておくものもあり、これを「り出し位牌」とも「り位牌」ともいいます。この繰り位牌は一基の中に、多くの霊を祀ることができるのが特徴です。


お位牌の大きさは、仏壇の中のお位牌をお祀りする場所にあわせて寸法を決めるのが良いでしょう。


過去帳

先祖代々の霊や、新たに亡くなられた方の戒名(法号)、俗名、死亡年月日、年齢等を記載する帳面です。菩提寺に依頼して書いてもらうのが良いでしょう。


香炉、燭台(ロウソク立て)、花立て

仏前のお供えの中で、香をたく香炉・燭台・花立ての三つは最も大事なもので、この三つの仏具のことを「三つ具足(みつぐそく)」といいます。三つ具足は、中央に「香炉」、向かって右側に「燭台」、左側に「花立て」の順で配置します。


この三つ具足を丁寧にした、香炉を中心に、燭台と花立てが一対ずつの「五具足(ごぐそく)」もあります。


これら本来の意味は、どれもご本尊への尊崇と、まごころのあらわれで、仏様に良き香と、明るい光と、美しい花を捧げることです。


もともとは香炉で香をたいたものですが、現在では線香の方が一般によく用いられます。線香を立てる場合は一本から三本、焼香も一回や三回行います。


大事なことは、まごころをこめて、仏様に良き香を捧げ、仏様への尊崇の心を高めることです。


仏前の明かりには、ロウソクや電灯を使用します。
仏様に明かりを供え、その余光をもって自分自身の道を照らしてゆくという意味もあります。
灯明を消す時には、口で吹いて消すのはつつしむべきです。また仏壇の線香や灯明は、時に火災の原因になるため、礼拝の後には必ず線香や灯明を消すことを忘れないように注意してください。


花を供える場合、花の背を仏様に向ける「向下相(こうげそう)」、花の正面を仏様に向ける「向上相(こうじょうそう)」、四方正面になる「向中相(こうちゅうそう)」の三つの供え方があります。
色や形や香りが仏様を飾るのに相応しくないと思う花を避けて、心をこめてお供えします。


お供え

仏様へは、御霊膳をはじめ仏飯(ぶっぱん)や水、茶湯(ちゃとう)などの他、果物、お菓子、野菜、海産物などを供えてください。仏飯は炊き立てのものを一番に供え、茶湯はなるべくその日新しく入れた一番のお茶を供えてください。


御霊膳は霊供膳(りょうぐぜん)ともいい、仏様に食事を供えるお膳のことです。必ずお箸の置いてある正面を仏様に向けて供えてください。器の配置は図の通りで、供えるものは精進料理が基本です。


親碗(おやわん)は、ご飯を小高く盛りつけます。汁椀(しるわん)は、味噌汁やお吸い物用の器です。平椀(ひらわん)は、煮物等を盛る器です。壺椀(つぼわん)は、野菜の和え物等を盛る器です。高坏(たかつき)は、香のもの(漬物)を盛る器です。


お札・お守り

お正月や節分といった季節の区切りにいただくお札や、家内安全・ 身体健全・学業成就・交通安全などの祈願で授与されるお守りは、私たち災難や悪縁から守っていただくためのものです。


お札・お守りは、必ず本山か菩提寺より授与されたものを用いて下さい。他宗派のお寺や神社からは、受け取らないようにしましょう。


「お札」は、さまざまな障りが侵入しないよう、玄関など人の出入りする場所の上部に貼ります。 お仏壇の中に納める場合には、ご本尊を妨げないように注意して下さい。また、一年が過ぎたら新しいお札と取り替えて下さい。「お守り」は、身につけます。いずれも、お題目や仏神のご尊名が書かれた尊いものですから、大切に扱って下さい。


古くなったお札・お守りは本山か菩提寺に持参し、年末年始や節分などの際にお焚き上げしていただきましょう。


『顕本法華宗 信徒必携』平成18年5月改訂版


仏壇の手入れ

仏壇はご本尊を掲げ、ご先祖様をお祀りする大切な場所ですから、常に清潔にしておき、また取り扱いにも気を配って大事にしなければなりません。
金箔はあまり素手で触ったり、こすったりしないようにしないようにします。手を触れると、手垢や指紋が付きますし、またこすると生地が出てきます。なるべく毛ばたき、または新しい筆などでほこりを払うのがよいでしょう。


漆の仏具については、よく絞った布で軽く拭くのは構いませんが(ただし、金箔を使用している箇所は拭いてはいけません。金箔がはげてしまいます)、なるべく乾拭きを推奨いたします。


また、真鍮の仏具はすぐにさびが付きますが、市販の真鍮みがきを使用することできれいになります。


きれいに掃除した清らかな仏壇に向い、毎日手を合わせると、心も清浄になるものです。是非実践していただきたいと思います。


〈顕本法華宗 法式研究所〉
 

“仏事あれこれ”については、総本山妙満寺第302世貫首 古瀬堅徳(日宇)猊下(1917~2003)著書、『法事と戒名のすべて』(有)技興社発行を参考に掲載しています。

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