葬儀以後の仏事 ③
納骨・埋葬
(1)納骨供養
納骨供養とは、故人の遺骨を墓所に納める法事の事ですが、すでに墓所が決まっている場合には、そこにお骨を納めて供養します。この場合は「埋葬(まいそう)」とも言います。しかし墓地がまだ決まっていない場合や、何かの都合で墓地にお骨を納める事ができない時は、お寺や、本山にある納骨供養塔、納骨堂などにお骨を納めて預かってもらいます。
これを納骨と言います。
死亡診断が出て、基本的に24時間は火葬してはならないとの法律上の決まりはありますが、この埋葬(まいそう)や納骨(のうこつ)について、いつ行うかは決まっていません。早い場合は火葬当日に、また四十九日忌や百ヶ日忌、一周忌の法事当日に一緒に行うことが多いようです。しかし、地域やその家の事情などによって様々です。
まず、埋葬・納骨するには、埋葬許可証が必要です。火葬場から、お骨と共に返却された火葬許可証が埋葬許可証としての扱いになります。埋葬許可証は、納骨する寺院や霊園などの墓地管理者に提出します。
本山や納骨堂など、二ヶ所以上に分骨する場合は分骨証明書が必要となります。二ヶ所以上の分骨を望む場合、事前に火葬場に申し出て、発行してもらう手続きが必要です。
(2)納骨方法
現在は、納骨と言っても多様な納骨手段があります。
例として、寺院墓地、霊園墓苑、納骨堂、合祀墓(合葬墓)、樹木葬などがあります。また海洋散骨や、人とペットが一緒に入れるお墓など、通常の納骨とは異なる特殊なものもあります。
1,寺院墓地、霊園墓苑
すでにあるお墓に納骨する場合、管理者に埋葬許可書を渡し納骨をします。菩提寺に連絡し納骨供養をしてもらうのがよいでしょう。
新しくお墓を建てる場合、先に墓地区画を取得し、石材店などへ連絡し、建立の依頼をしなければなりません。墓地取得と言っても、正確には墓地区画の使用権取得ですから、売却や転売することはできません。したがって土地の売買ではないので、登記の変更は不要です。
お墓の祭祀者(代表者)に変更がある場合は、その都度管理者へ申請が必要です。
2,納骨堂、合祀墓・合葬墓、樹木葬
最近では、子供がいない、家を継ぐ者がいない、後継者などに面倒をかけたくないなどの理由から、墓終いをする家も多くなってきているようです。
墓終いをするからには、それまでお墓に納めてあった、先祖のお骨を納める場所を探さなければなりません。また、それまでのお墓をきちんとした方法で処分しなければなりません。
納骨堂の一部や合祀墓・合葬墓などに納める場合、一度納骨してしまうと、後にお骨を引きとりたいと思っても、他人のお骨との合葬になり、返していただけない場合もありますので、注意して納骨するのがよいでしょう。
寺院、霊園などによって、取り扱うお墓の形態が違うため、墓終いや納骨堂への納骨、合葬、樹木葬などを行いたい場合は、菩提寺、または霊園墓苑の管理者などに前もって伺っておくのがよいでしょう。
3,墓地の移転
転出などの理由でお墓を移転する場合や、高台から平地の墓地にお墓を移転するなどの場合、改葬許可証が必要です。
まず、菩提寺と相談し、移転先の墓地を決めてから、役所へ改葬許可証交付申請書及び受入証明書などを提出し、改葬許可証を発行してもらい、移転先の墓地管理者に提出しましょう。その後、石材店などに連絡をし、移転前と完成後には菩提寺に閉眼供養と開眼供養を行ってもらうのがよいでしょう。
時代が進むにつれ、様々な納骨方法が登場して参りますが、安定して穏やかにお眠りいただく事を一番に考えると、住職が代わっても永代にわたりお骨が安置され、親身になって相談を受けてもらえる寺院の墓地や納骨堂がよいのではないでしょうか。
ただし、地域によっては、時代背景などをもとに寺院墓地が認められておらず、公営や民営の墓地墓苑しかない場所もあります。
“仏事あれこれ”については、総本山妙満寺第302世貫首 古瀬堅徳(日宇)猊下(1917~2003)著書、『法事と戒名のすべて』(有)技興社発行を参考に掲載しています。