本文へ移動

法事の進め方

場所と日時を決める

まず、法事を勤める「場所」と「日時」を決めます。自宅なのか、別の場所なのかを決め、菩提寺や会館の都合を早めに聞いて予約をしておきます。

日を決める際に、一番良いのは故人の命日ですが、その日を変更して勤める場合は、命日当日より前に勤め、二霊以上の法事を一緒に勤める場合には、命日の日付の早い霊にあわせる方がよいでしょう。


参詣する方々の仕事の都合などで、命日より前の週末や休日に法事を勤めることが多くなりましたが、その場合も、まず菩提寺の都合を聞き、その後参詣してもらう方々の都合を聞いて決めます。
また時刻は、午前中に法事を勤めることが多いのですが、希望の時間があれば、菩提寺と相談して決めましょう。


案内状や電話等で知らせる

場所と日時が決まりしだい、参詣してもらいたい方に案内状を出すか、直接伺ってお願いするか、あるいは電話でお願いします。また、他の参詣者を招かないで、家族だけで菩提寺にお経をあげてもらう場合もあります

近年ではメールなどの連絡手段がありますが、特に目上の方には失礼に当たる場合がありますので気を付けましょう。


前日までの用意

本堂の御宝前にお供えするものは、菩提寺にお頼みすることもできますが、その場合にはお花代など必要な費用を当日に御布施と共にお納めします。


また自宅で行うときには、仏壇をきれいに掃除して、仏具のほこりを払い、新しい花を花立てに立て、ロウソクも新しいものを用意します。


次に霊供膳をつくってお供えします。その他に、お茶湯、お菓子、果物など故人が好んだものをお供えされるとよいでしょう。
お墓の掃除は当日の朝でも良いのですが、できれば前日か前々日にしておきます。

塔婆(とうば)の申し込み

故人の霊を供養する為に、親類や友人の中で志のある人は、当日、ご霊前に塔婆をたてて回向してもらいます。一週間くらい前には塔婆を建てる人の名前を取りまとめ、事前に菩提寺へ申し込んでおきます。

「塔婆」というのは、梵語(昔のインドの言葉、サンスクリット)の発音で、「ストゥーパ」という語の音をとって、「そとうば」とか「とうば」というようになり、これに塔婆という文字をあてたもので「塔」という意味です。

この塔はお釈迦さまをあらわしたものですが、これになぞらえてできたのが今使われている塔婆です。この塔婆に故人の法号を書くことで、故人その人をあらわします。また、お経文の一節を書いて拝むことにより、その功徳とご利益はみな故人の霊の上にそそがれます。したがって、故人に対する感謝と報恩と供養の気持ちがこの塔婆の中にこめられているのです。

お経や日蓮大聖人の御書には
「塔を起てて供養すべし。所以は何ん、 當に知るべし、是の処は即ち是れ道場なり。」
『妙法蓮華経如来神力品第十二』

「丈六のそとば(卒塔婆)をたてゝ、其面に南無妙法蓮華経の七字を顕してをはしませば、(中略)過去の父母も彼そとばの功徳によりて、天の日月の如く浄土をてらし、孝養の人並に妻子は現世には寿を百二十年持て、後生には父母とともに霊山浄土にまいり給はん云々」
『中興入道御消息』

とあり、塔婆をたてて供養するご利益の大きいことが説かれています。塔婆は本堂や自宅などで回向した後、お墓の塔婆立てにたてます。

近年、事情などにより、回忌塔婆の申込みだけを菩提寺に頼み、家族だけでお墓参りを済まされる方が見受けられますが、なるべく菩提寺の住職に回忌供養をして頂き、住職と共に読経・唱題をし、ご先祖・故人を偲びましょう。

法事の施主

法事の施主は葬儀のときに喪主をつとめた人やお墓や仏壇を受け継いだ人が勤めることが一般的です。

施主が中心となって法事の日時や内容を決めますが、親類などは、共に先祖供養をするという意味をこめて、「御仏前」を包んで供えるのがよいでしょう。


一般の参詣者も、昔は仏前へのお供え物を持って行ったものですが、これは品物が重なることもあるので、お供えを「志」のお金にかえてもかまいません。

法事の服装

法事に参詣する服装は、必ずしも喪服の必要はありません。平服でもよいのですが、仏さまの御前に詣でる上で相応しい服装かを考え、あまり華美な服装・ラフな服装は避けた方がよいでしょう。

墓参とお供養(食事など)

お墓が近くにある場合、とりわけ菩提寺にお墓がある場合には、法要後の法話のあと全員でお墓へ参詣して、塔婆をたて、お墓に水と花と線香をあげて、菩提寺にお経をあげてもらいます。


お墓が遠い場合には、親類だけで当日、または別日に墓参をすることもあります。


最後に、お供養として施主から参詣者に品物や食事を施す場合があります。
この食事の席に全員がそろったときに、施主は、菩提寺はじめ参詣の全員にお礼の挨拶をし、また食事の終わりにも簡単に挨拶をします。
この食事の席はない場合もあり、それでも法事としては一向にさしつかえはありません。


〈顕本法華宗 法式研究所〉

“仏事あれこれ”については、総本山妙満寺第302世貫首 古瀬堅徳(日宇)猊下(1917~2003)著書、『法事と戒名のすべて』(有)技興社発行を参考に掲載しています。

TOPへ戻る