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仏壇

仏壇とは

仏壇とは家庭における信仰生活の中心になるところです。仏壇の中には拝む対象、読んで字のごとく「もとより尊い」信仰を捧げるご本尊が安置されています。


宗派によってご本尊に相違はありますが、顕本法華宗では「宗祖奠定の大曼荼羅(しゅうそてんていのだいまんだら)」を一番奥の高い所にお祀りして、一段下より法号を記した先祖の位牌や過去帳などをお祀りします。仏壇の形状に関わらず、どのような場合でもご本尊を大きくふさいではいけません。


仏壇は家庭内の信仰の拠りどころとして美しく清らかに荘厳し、静寂の中で一心に拝む道場であり、自身の日頃の行いを反省することができる大切な場所でもあるのです。

《現在の仏壇の形に近いものとしては、法隆寺の「玉虫厨子」が日本最古のものとされ、当時は念持仏を祀るためのものでした。
そして、江戸時代での徳川幕府による檀家制度(戸籍制度)などの宗教政策もあって、急速に庶民に広まったといわれています。※諸説有》


仏壇を求める時期

仏壇は、ただ亡くなられた家族や先祖だけをお祀りする所ではありません。家族の和合和楽の中心であり、それぞれ自身の心とご本尊とが結びつく根本道場ですので、亡くなられた方がおられなくても、一家を持ったなら仏壇を求めましょう。


地方によっては、結婚して分家をした時に、すぐに菩提寺にお参りし、先祖のお墓に報告申し上げて、お寺からご本尊を求めていただき、家の仏壇にお祀りするところもあります。これは先祖やご本尊を大切にし、尊んでいる証です。


いつ仏壇を求めるかについては、特に理由もないときに購入するとその家に不幸が訪れるという方がいますが、仏教のいかなる経典にもそのような教えはありません。


お盆やお彼岸、先祖の命日、また、葬儀や法事といった、仏教に関心が高まった時に併せて求めるとよいでしょう。自身の心の拠りどころであり、信仰生活の中心となる仏壇を求める日に、悪い日などありません。


仏壇の安置場所

仏壇を安置する場所ですが、方位や方角の良し悪し、また西向きが良い、南向きが良いなど様々あるようですが、仏壇とは、ご本尊や先祖をお祀りする場所であり、家庭における自身の心の中心でありますので、方位や方角にこだわる必要はありません。風通しが良く、湿気の少ない静かな場所がよいでしょう。


しかし、直射日光がよく当たる場所は、仏壇の劣化や破損を招くため避けなければなりません。また、人の出入りが多い玄関先や台所なども避けるようにしましょう。


仏壇の種類

仏壇の種類は様々ありますが、大きく二つに分けることができます。
一つは、漆の上に金箔を施し、装飾も豪華な「金仏壇(きんぶつだん)」あるいは「漆仏壇(うるしぶつだん)」と呼ばれるもので、材料は欅、檜、杉などが使われています。


もう一つは、漆や金箔をあまり施さず、材料に使っている木材の生地をそのまま表面に出した「唐木仏壇(からきぶつだん)」と呼ばれるもので、材料は桑や桜、黒檀、紫檀など木目の美しい木が使われています。


近年では、マンションや小さな間取りでも安置することができる小型の仏壇や、洋室にもなじむような仏壇もありますので、間取りや住宅事情を考慮して、永く愛着のもてるような仏壇を選ぶのがよいでしょう。


仏壇・ご本尊の開眼、閉眼供養

新しく求めた仏壇には、お祀りするご本尊に魂を入れる「開眼供養(かいげんくよう)」を菩提寺に勤めていただき、また古い仏壇を取り払う時には、ご本尊から魂を抜く「閉眼供養(へいげんくよう)」を勤めていただくことを忘れないでください。


開眼供養を勤めていただいた仏壇のご本尊には魂が入っているので、大切に扱わなければなりません。また破損や劣化等により修復する時や、事情により処分する時などには必ず閉眼供養を勤めていただきましょう。供養や詳細については、菩提寺にお尋ねください。


*尚、顕本法華宗のご本尊のお祀りの仕方については、本宗公式ホームページ内「教え・歴史」の「ご本尊について」、または「信徒必携」をご覧ください。


 【仏具の飾り方・置き方】


・ご本尊(お曼荼羅)※ 顕本法華宗『信徒必携』より

日蓮大聖人は信仰する上でご本尊を決して誤ってはならない、と説いてこられました。


我が家の信仰の拠り所であるお仏壇で最も大事なのはご本尊です。それはお位牌でもなく、日蓮大聖人像(図2)でもありません。日蓮大聖人が法華経の世界を精魂込めて文字で書きまとめられたお曼荼羅(掛け軸・図1)が本宗信徒の拝むべきご本尊であります。


ただし、寺院等ではお曼荼羅の中心部におられる仏・ 菩薩を木像の形に置き換える場合もあり、これを「木像式」と言います。
お曼荼羅の中には様々な菩薩・神・高僧の名が記されていますが、どなたも皆お釈迦様に帰依されていますので、その内のお一人だけを取り上げて礼拝の対象にするのは誤りです。
お釈迦さまをさしおいてほかの神仏を本尊にしてはいけません。


本宗ではお曼荼羅の左右には鬼子母神や大黒天の神像・掛け軸をおまつりしないのです。
また、他宗のお寺のお札も仏壇の中にまつらないようにして下さい。


なお、お仏壇の購入等で、お曼荼羅を新調するときは、必ず菩提寺にお願いして、総本山妙満寺から授与されたお曼荼羅をご住職に開眼供養してもらって下さい。



・位牌(図3)
位牌には一基(一本)に一霊か、夫婦位牌など二霊並べる形式があります。その他、先祖代々の霊を何霊も多く記す大きな位牌もあります。


また、木札の一枚ずつに法号を記して、何枚も重ねて箱型の位牌の中に入れておく形式もあり、これを「繰り出し位牌(くりだしいはい)」とも「繰り位牌」ともいいます。この繰り出し位牌は一基の中に、多くの霊を祀ることができるのが特徴です。
位牌の大きさは、仏壇の大きさにあわせて寸法を決めるのがよいでしょう。



・過去帳
先祖代々の霊や、新たに亡くなられた方の法号、俗名、死亡年月日、年齢等を記載する帳面です。菩提寺に依頼して書いていただきましょう。

・三つ具足(みつぐそく)
・五具足(ごぐそく)
仏前の香・華・灯明の三つは最も大事なお供えで、仏さまに良き香りと、美しい花と、灯火(ともしび)をご本尊への尊崇と真心のあらわれとして捧げています。


この三つをお供えするための仏具のことを「三つ具足」といいます。三つ具足は、中央に「香炉」、向かって左側に「花立て」、右側に「燭台」の順で配置します。
この三つ具足を丁寧にした、香炉を中心に花立てと燭台が一対ずつの「五具足」もあります。

以前は香炉で香を焚いたものですが、現在では香炉で線香を立てる方がよく用いられます。線香を立てる場合は一本から三本立てます。大事なことは、真心をこめて、仏さまに良き香りを捧げ、仏さまへの尊崇の心を高めることです。


花を供える場合、花の背を仏さまに向ける「向下相(こうげそう)」、花の正面を仏さまに向ける「向上相(こうじょうそう)」、四方正面になる「向中相(こうちゅうそう)」の三つの供え方があります。仏前に相応しいと思う花をお供えします。


仏前の明かりには、ロウソクや電灯を使用します。仏さまに明かりを供え、その余光をもって自身の道を照らしてゆくという意味もあります。灯明を消す際には、口で吹いて消すのはつつしむべきです。また仏壇の線香や灯明は、時に火災の原因になるため、礼拝の後には必ず線香や灯明を消すことを忘れないように注意してください。



・お供え
仏さまへは、御霊膳(ごれいぜん)をはじめ仏飯(ぶっぱん)や水、茶湯(ちゃとう)などの他、果物、菓子、野菜、海産物などをお供えします。仏飯は炊きたてのものを一番にお供えし、茶湯はその日新しく入れた一番のお茶をお供えしましょう。

御霊膳は霊供膳(りょうぐぜん)ともいい、仏さまに食事をお供えするお膳のことです。お箸の置いてある正面を仏さまに向け、精進料理をお供えするのが基本です。
親碗(おやわん)にはご飯を小高く盛りつけ、汁椀(しるわん)には味噌汁やお吸い物を入れ、平椀(ひらわん)には煮物等を盛りつけ、壺椀(つぼわん)には野菜の和え物等を盛りつけ、高坏(たかつき)には香のもの(漬物)を盛りつけます。



・お札・お守り ※ 顕本法華宗『信徒必携」より
お正月や節分といった季節の区切りにいただくお札や、家内安全・身体健全・学業成就・交通安全などの祈願で授与されるお守りは、私たちを災難や悪縁から守っていただくためのものです。


お札・お守りは、必ず本山か菩提寺より授与されたものを用いて下さい。他宗派のお寺や神社からは、受け取らないようにしましょう。「お札」は、さまざまな障りが侵入しないよう、玄関など人の出入りする場所の上部に貼ります。


お仏壇の中に納める場合には、ご本尊を妨げないように注意して下さい。また、一年が過ぎたら新しいお札と取り替えて下さい。「お守り」は、身につけます。いずれも、お題目や仏神のご尊名が書かれた尊いものですから、大切に扱って下さい。古くなったお札・お守りは本山か菩提寺に持参し、年末年始や節分などの際にお焚き上げしていただきましょう。


・仏壇の手入れ
仏壇はご本尊を掲げ、先祖をお祀りする大切な場所ですので、常に清潔にしておき、また取り扱いにも気を配り大切にしなければなりません。


金箔の部分は、手で触れると手垢や指紋が付き、こすると剥げてしまいますので、なるべく毛ばたき、または新しい筆などでほこりを払うのがよいでしょう。


漆の仏具については、よく絞った布で軽く拭くのは構いません。ただし、金箔を使用している箇所は金箔が剥げてしまいますので拭いてはいけません。なるべく乾拭きをしましょう。

また、真鍮(しんちゅう)の仏具はすぐにさびが付きますが、市販の真鍮磨きを使用することできれいになります。きれいに掃除した清らかな仏壇に向い、毎日手を合わせると、心も清浄になるものです。是非実践いたしましょう。



〈顕本法華宗 法式研究所〉

“仏事あれこれ”については、総本山妙満寺第302世貫首 古瀬堅徳(日宇)猊下(1917~2003)著書、『法事と戒名のすべて』(有)技興社発行を参考に掲載しています。

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